卒業生インタビュー

インタビュー:卒業生の活躍

就職氷河期世代の反骨精神で、「二つの本業」に取り組む

亭島 和洋(本名・和彦) 氏(フィットネスパーソナルトレーナー/イラストレーター 65回卒)

略歴 1976年、兵庫県生まれ。1994年、私立育英高等学校卒業。1999年、本学経営学部卒業。大手スポーツクラブで17年間インストラクター、パーソナルトレーナーとして勤務。2020年、トレーニングルーム「HAGURUMA」開業。一方、2005年、WAOクリエイティブカレッジで1年間イラストを学び、絵本や挿絵などを制作。「OMMオフィシャルカレンダー2017アートコンペ」グランプリ、絵本「パパの柿の木」で2017年日本自費出版文化賞グラフィック部門賞など受賞。

パーソナルトレーナーとイラストレーターと二足のわらじを履く

「澱江56号」から表紙イラストを担当する亭島さんは、挿し絵を手掛けた絵本「パパの柿の木」で、第20回日本自費出版文化賞グラフィック部門賞に輝いたイラストレーターです。
一方で、2020年にトレーニングルーム「HAGURUMA」を開設し、身体機能向上や健康増進をめざす人をマンツーマン指導するパーソナルトレーナーとしても活躍されています。

絵も運動も好きだった子供時代、そしてパーソナルトレーナーの道へ

子どもの頃から絵を描くのも体を動かすのも好きだった亭島さんは、中高生時代はサッカーに力を注ぎ、本学入学以降は町の道場で日本拳法を続けています。
本学卒業後は、営業マンとして就職されましたが、何事もポジティブに捉えたい彼の思いとは真逆の会社であったため、2カ月で退社を決意。「折しも就職氷河期の真っ盛りで、周りは大反対でした」と亭島さんは当時を思い出して言います。
その後、大手スポーツクラブでアルバイトを始めます。インストラクターの研修を受け、バイトから準社員へ採用、そして正社員になろうかというとき、パーソナルトレーナーとして独立する道を選択します。
独立に合わせ、米国のライセンスなど関連資格を取られました。

怪我をきっかけに、イラストレーターのプロの道も目指す

転機は、30歳を前に左腕を骨折したときのこと。
スポーツマンやトレーナーにとって、怪我は大きな障害になるものですが、亭島さんは違う考えの持ち主でした。
「自分にとってマイナスな出来事が起こったとき、それをプラスにできないかと考えてみます。じっと回復を待つだけなのは嫌だと思い、子供のころから好きだった絵をしっかり学んでみようと専門学校に入りイラストを学ぶことしました」と語ります。
専門学校で基礎を学び、卒業後、工夫を重ねてデジタル技法を用いた独自の画風をつくり上げられました。
トレーナーの仕事を続けながら、まずはインターネットを通して挿し絵などの仕事を始めます。
イラストは趣味として続けることもできましたが、「プロとして人の役に立つレベルになりたかった。トレーナーとイラスト、どちらも本業です」と言い切られます。そして、「基本を学んだうえで自分なりにアレンジしながら技術を磨いていくという点は、どちらも同じだと思います」とも言われました。

「パパの柿の木」との出会い

亭島さんの代表作ともいえる、絵本「パパの柿の木」は、谷口真知子さんが1985年の日航機墜落事故で夫を亡くした経験をもとに執筆・出版されたもの。
谷口さんをパーソナルトレーナーとして指導していた縁で、挿し絵のオファーを受けられたそう。
事故後に谷口さん家族の心を支えた柿の木が、温かいタッチで描かれています。絵本は新聞にも取り上げられ、2020年には英訳版も発行されて記念作品展も開かれました。

コロナ禍にも負けない、パーソナルトレーニングルームを

しかし記念作品展が開催されたその2020年、コロナ禍が世界中に広がりました。
イラストレーターとして順調に歩んできた亭島さんでしたが、ここでパーソナルトレーナーーとしての仕事に翳りが差します。

クラスターが発生したことや、窓が少なく三密になりやすい環境のためトレーニングジムは敬遠されるようになりました。ここでまた、逆境に対する反骨精神が頭をもたげます。
巣ごもりによる運動不足、健康意識の高まりを鑑みて、窓の多い小規模トレーニングルームをオープンすとにしたのです。換気など周到なコロナ対策を講じ、完全予約制で一人ずつ対面のトレーニングを行っています。これが反響を呼び、「お客様個人とのつながりが強いので他のジムとの競合も少なく、次第に口コミで広がっています」と話す亭島さん。

さいごに

在学生へのアドバイスをお願いすると「日進月歩のIT技術などを使って、仲間と起業シミュレーションをするとか、サークルを立ち上げるとか、学生時代にしかできないことに挑戦してほしい」と話されます。
本号の表紙は、本学のシンボルツリー・大樟の木を描いたもの。たくさんの子どもたちが、幸せの青い鳥ではなく大樟のてっぺんをめざして登っています。その一人が亭島さん自身のようにも見えます。
(聞き手=広報部部長・田中伸治)

2024年度
2023年度
2022年度
2021年度