卒業生インタビュー

インタビュー:卒業生の活躍

成功のチャンス、偉くなるチャンスは飲食業にあり

望月 進 氏(61回/KRフードサービス代表取締役社長)
1973年、兵庫県神戸市生まれ。県立星陵高等学校卒業。1996年、本学経済学部卒業後、飲食業を展開する大阪ガスの子会社に就職。以後、大阪ガスの撤退に伴いファンドによる経営に移行。31歳のとき東京進出を果たす。2015年に飲食業大手のクリエイト・レストランツ・ホールディングスと資本提携、2019年株式会社KRフードサービス代表取締役社長に就任。

関西や関東を中心に和食レストランチェーン「かごの屋」「上高地あずさ珈琲」などの店舗の運営を行う株式会社KRフードサービス代表取締役社長望月進さんにお話をお聞きしました。

堅実な家庭に育つも、オーナーシェフへの憧れ

祖父、父親ともに公務員、母親は中学校の音楽教師という、堅実な家庭に育ちました。
小中学校とも地元の公立校で学び、中学校では学年で上位の成績でしたが、反面、その頃から親の希望と自分の考え方が違うことを感じるようになり、高校進学は親の意向には沿わず、自宅から一番近い、自由な校風の県立高校に進みました。飲食業に興味をもち、将来はオーナーシェフのようなことをして会社を創り大きくしたいと思い、高校卒業後は調理専門学校行きを希望しましたが、親から大学進学を諭され、1年目は受験せず、一浪して本学に入学しました。本学へは、先に行っていた友達から勧められ、また経済を勉強して偉くなりたいという目標もあって、行くことに決めました。
大学時代は親に世話になりたくない思いから実家を離れ、下宿生活でした。入学後、卒業までの4年間は大学へ通いつつ、梅田にあるイタリアンレストランの厨房でアルバイトをしていました。

学生生活が学業とバイトに明け暮れていたわけでもなく、友達と卓球、麻雀、ビリヤードなどでよく遊びました。大学時代の友人とは今でも付き合いがあり、妻とは1回生時イベントサークルで知り合って付き合い、大学卒業後すぐに結婚しています。

アルバイトの経験を活かし、就職

就活はアルバイトで学んだ料理の経験を生かしたいこともあり、大阪ガス系で料理もあって、これから一気に伸びそうな今の会社を選びました。当時「かごの屋」は10店舗ほどでした。店舗での勤務を経験し、3年ほどして店長に昇格しましたが、その頃、経営母体が大阪ガスの子会社の関係でプロパーでは社長になれないことに気付きました。

ファンドへの売却で大きく道が開けるも、挫折の日々と再起

ところが大阪ガスが子会社の株をファンドに売却、ファンドによる経営でその結果人事が一新され、部長に昇格しました。
ファンドになってから様々な研修で経営学を学び、31歳で東京立ち上げのプロジェクトマネージャーとして東京へ転勤になりました。この時最初の苦難を経験しました。大阪ガスのタガが外れて東京進出を実現、人口が関西の3倍ある東京に行けば、3倍の売り上げがあると見込んでいたところ、全く売り上げは上がりませんでした。色々と試行錯誤を繰り返しましたが結果が出ず顔面神経痛になるくらい悩みました。
結果的に近所の主婦をターゲットにしたところ、4年目にしてようやく売り上げを伸ばすことができました。その後、8年目にして26店舗に拡大させることができ、関西に戻りクリエイト・レストランツ・ホールディングスと資本提携、2019年に念願の株式会社KRフードサービスの社長に就任しました。
しかし、就任2年目にして今度は新型コロナ禍の拡大でした。売上がゼロになれば毎月大きな損失です。事務所の移転を敢行したり、各種メンテナンスなど外注していたものを全て内製化することにしました。そうしているうちに政府から助成金が下り、かごの屋の店舗も20店舗ほど閉店させて、何とか危機を脱することが出来ました。お陰で会社の数字を見直すなど、良い経験になったと前向きに捉えています。

人生は1度きり

座右の銘は「ワンライフ」、人生は1回しかないのでやりたいことをやろうということです。若い社員にもやりたいことがあったら自ら手を上げてアピールするように進言しています。今の学生さんには、大学時代は時間があるので海外旅行にも行ってほしい、ネットの時代でもしっかりとした本を読んでほしい、他人に依存せずに自分で生きて行く力をつけて将来の道筋を見つけてほしいと思います。
これから社長を目指す学生さんへのアドバイスとして、何のために社長になりたいかということをよく考えてもらいたいと思います。私の場合は1軒の店でミシュランの三ツ星をもらうことよりも自分が美味しいと思う料理を出来るだけ沢山作って、沢山の人に味わってもらう、少人数より多人数に知ってもらう方が世の中に貢献出来ると思っています。
かごの屋の店舗が増え、沢山の人が店に来てもらえば、より沢山の人にかごの屋の味を知ってもらうことになり、従業員の労働意欲も高まります。そしてそこで働くお父さんが店長をやっていることで家族に自慢でき、家族の記念日にその店に家族を連れて行って食事を楽しんでもらう。こういうことが社長冥利に尽きます。会社の経営理念に「最高のごちそうさま」という言葉がありますが、これは料理やもてなしに対してだけではなく、前日から部屋や席の配置などあれやこれやと準備してその日を迎える。その手間ひまなどを総合的に感謝していただく意味です。KRフードサービスの店舗数は現在、国内とタイ、合わせて146店舗になりましたが、これから社会的影響力を高めるためにさらに会社の規模を大きくしていきたいと考えています。そのためにも労働力や、従業員の賃金を上げてこの世の中を勝ち抜いていきたいと思います。
最後に大学との関わりとして、飲食業はやりがいのある仕事であり、飲食業界の現役社長として大学での講演依頼があれば、いつでもお受けしたいと考えています。
(聞き手=広報部副部長・天野康弘、広報部・松浦雄一郎)

 

こちらは 同窓会誌「澱江59号」掲載の記事です

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