インタビュー:卒業生の活躍
桜井先生との出会いが、 外交官への道を拓いた
吉田 和隆 氏(在エルサルバドル日本国大使館勤務、73回)
1983年、愛媛県伊予郡松前町生まれ。松山城南高等学校(現・松山学院高等学校)卒。2007年、本学人間科学部卒。
大樟会への一報
始まりは、数年前に退職された桜井三枝子先生からのお便りでした。「吉田和隆氏は外務省試験に合格し、某国大使館に勤務中」とありました。たまたま大樟会事務局に来られた岸田国際部長がメアドをご存知で繋いでいただき、次に高濱広報課長から取材者の大村彩乃さんを紹介していただきました。(大樟会広報部)
オンラインでのインタビュー
6月10日の午前9時、学生広報隊に所属する大村彩乃さん(経済学部3年)が人間科学部の第1期生であり、エルサルバドルの日本国大使館で活躍されている吉田和隆さんにオンラインで取材を行いました。エルサルバドルは中央アメリカに位置し、人口が千葉県とほぼ同じ約600万人の国です。また日本との時差が15時間あるため、現地の取材時刻は6月9日の午後6時。吉田さんは仕事終わりにもかかわらず、気さくにお話ししてくださいました。
桜井先生のスペイン語が人生の分岐点に
私が人間科学部に入学したのは、心理学に興味をもったからです。中学生時代に喘息で不登校になった経験から、不登校の人の為に何かできることはないかと思っていたからです。入学後、桜井先生のスペイン語を履修したところ、当時苦手意識のあった英語と比べ、相手に意思を伝えることができたスペイン語にのめり込みました。その後、文化人類学の桜井ゼミに所属したことで他国の文化を学習し、心理学よりも興味をもつようになりました。また桜井先生のすすめで、当時協定校となったばかりのメキシコのベラクルス州立大学にスペイン語研修のため1か月留学し、その約半年後には大学を休学して再度メキシコに1年間留学しました。
海外と関わる仕事への情熱
卒業後は民間企業に就職したものの、メキシコ留学を思い出すたびに海外と関わる仕事がしたいとの思いが強くなりました。桜井先生に相談した際、日本政府とメキシコ政府の留学生交流制度があることを教えてもらい、応募したところ合格。再びメキシコに留学しました。留学中は周りの方に声をかけてもらったことで通訳のアルバイトやJICA草の根技術協力事業の現地コーディネーターの仕事を担当することになるなど多くのことを経験しました。またメキシコで働きながらも、社会人入学制度を利用して広島大学大学院に入学し、修士課程を修了しました。その後、外務省が在外公館専門調査員としてメキシコで4年間、メキシコ政治の分析などを行い、2018年には外務省から正式に採用され、在エルサルバドル日本国大使館への勤務が決まりました。
在エルサルバドル日本国大使館では政治と広報文化班の班長を務め、エルサルバドルの政治情勢の調査や日本の文化を発信しています。その中でも日本国大使館の公式Facebookの運営は思い入れが強い仕事です。赴任当時にはなかった公式Facebookを開設し、大使館として必要な情報を発信するとともに、伝統文化など日本の魅力を発信してきました。4年間の試行錯誤の結果、フォロワー数は10万人を超え、日本の在外公館が約190あるうち13位という成果を出していることは自分でも誇れることだと思っています。
このような日本国大使館での勤務や、過去の海外生活を振り返ると達成感のある仕事や楽しい経験ばかりではなく、辛いこともありましたが、自分の気づかないところで周りの方が自分を支えてくれた結果、外交官という肩書で仕事することが出来ており、その方々の期待に応えたいと思って仕事に励んでいます。
学生の皆さんへ
私の経験上、人生どこでどう転ぶかわからないです。頑張っていればそれを見てくれている人がいて手を差し伸べてくれる。その時は叶わなくても、諦めずに自分がしたいことに向かって頑張ってくれる後輩が一人でも増えれば嬉しいし、自分も後輩に負けないように頑張ろうという気持ちになれます。
在学生の皆さんは、学生同士でわからないことも周りの大人に聞いてみれば案外簡単に解決策やヒントが得られることもあるので、困ったときは一人で悩むのではなく、周りの大人に助けを求めながらも頑張ってほしいです。
【取材後の感想】日本国大使館に勤められていると聞くとお堅い方なのかなと、インタビュー前は緊張していましたが、吉田さんにお話を聞くと親しみやすく面白い方で緊張もほぐれていきました。吉田さんが活躍されている背景には、諦めず何事にも挑戦されてきた経験があったと知りました。私もこれからの人生をより良いものにしていくために、諦めずにたくさんの事に挑戦していきたいです。
(聞き手=大村彩乃・経済学部3年)
こちらは 同窓会誌「澱江58号」掲載の記事です
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