2019
 
2019年度入学式 華やかに開催される
山本俊一郎新学長が祝辞を述べられる

 2019年度の入学式は、2019年4月1日(月)、桜が咲き始めた本学フレアホール(70周年記念館)において、学部生、大学院生合わせて1600名余の新入生が期待に胸を膨らませ式典に臨んだ。今回の入学式は、新入生歓迎行事として、例年のグリークラブ合唱、吹奏楽部演奏に加え、チアリーダー部の華麗な演技も披露された。

 式は午前、午後の二部に分けて行われ、午前の部は午前10時から、経済学部、人間科学部、経済学研究科、人間科学研究科、午後の部は午後1時から、経営学部第1・2部、情報社会学部、経営学研究科、経営情報研究科の入学式がそれぞれ行われた。

 この日に就任した山本俊一郎新学長の式辞(祝辞)の要旨は下記のとおり。

(山本俊一郎新学長式辞・要旨)

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 新入生の皆さん、ご入学、おめでとうございます。また、保護者の皆様、心からお祝い申し上げます。数ある大学のなかで本学を選んで入学していただいたことを心より感謝いたします。

 皆さんは、今日から大阪経済大学の学生として新生活をスタートしますが、私も同じように今日からスタートします。自己紹介が遅れましたが、私は、本日、4月1日から学長に就任しました山本俊一郎と申します。3月末まで学長を務められましたコ永前学長からバトンを引き継ぎまして、皆さんと共に楽しい、ワクワクする大学をつくっていきたいと思っております。

 そして、もう一つ、新しくスタートするものがあります。それは大阪経済大学そのものです。ここで大阪経済大学の沿革を振り返ってみたいと思います。本学の前身であります浪華高等商業学校は、1932年に創立されています。本年で87周年を迎えます。皆さんが4年生になる2022年には90周年を迎えます。その10年後には創立100周年を迎えます。100周年を迎えるに当って、本学の使命であるミッション、そして2032年のあるべき姿を描いたビジョンを新しく策定しました。

 このミッション、ビジョンをお話する前に、本学の理念を紹介したいと思います。理念は建学の精神「自由と融和」、そして教学の理念「人間的実学」です。これらの本学の理念と創設者の思い、そして今現在の社会情勢の変化を勘案して、新しいミッション、ビジョンを策定しました。そのミッションが「生き続ける学びが創発する場となり、商都大阪から、社会に貢献する"人財"を輩出する」です。大阪経済大学はこのような大学に生まれ変わります。ここで聞き慣れない「創発」という言葉が出てきます。これは自立性と多様性をもった個と個の相互作用の中から予期せぬ現象が生み出され、その結果がまた個に影響を与えることです。はなはだ難しいですが、皆さんがいろいろな人や文化と出会って、その中から新しいものが生まれて、それが自分の成長につながるといった意味です。是非「創発」という言葉を覚えておいてほしいと思います。

 そのミッションを果たすために、2032年の本学の100周年ビジョンとして「DAIKEI2032」があります。このビジョンには4つの要素がありますが、皆さんにかかわるのは「教育ビジョン」です。「自らの学びをデザインできる学生を生み出す」、それが本学の新しい教育ビジョンです。「自らの学びをデザインできる」とはどういうことでしょうか。今、我々は、社会経済状況、環境問題等、様々な問題と直面しています。10年後、20年後にはどうなっているかわかりません。不確実性が増大する現代社会で私たちはどういうふうに生きていけばいいのか。そこで、私たちは現代社会を生き抜くために3つの力を考えています。それは、@困難な課題に対しても試行錯誤をし続け、挑み続ける力A既存の評価軸、枠組みから飛び出し、新たな価値観のなかでも活躍する力B多様な知を融合し、柔軟な創造力を持って共創をリードする力、この3つです。このような生き抜く力を、わかりやすく3つのキーワードでお伝えします。

 一つ目は、「つながる」ということです。これは、本学は2008年から「つながる力1という言葉を合言葉に、学生と学生、学生と教職員、本学と地域社会、国際社会と、様々につながって自らが成長していくという事業をたくさん展開してまいりました。皆さんも、大学に入学して新しいつながりを求めて新しい環境に飛び出してみてください。とは言っても、新しい環境に飛び出すには一歩を踏み出す勇気が必要になります。そういう時には、作家の平野啓一郎さんが「分人」という考え方を示しています。皆さんが友達と話している時の自分、家族と話している時の自分、好きな人の前で話している時の自分、自分一人で過ごしている時の自分、それぞれの時に自分というものを使い分けています。例えば、臆病な自分を変えたいと思うと、自分のなかにいろいろな「分人」が生きていると考えることによって、臆病な自分が壁を乗り越えて積極的な自分をつくり出せるかもしれません。大学入学は、そういった「分人」をつくり出すいいチャンスだと思いますので、是非、いろいろな「分人」をつくって、新しい世界に飛び込んでみてください。

 しかしながら、新しい世界に飛び込むといっても、自分をしっかり持っていないと、人の意見に押されて終ってしまいます。そうならないために、自分をしっかり持たないといけません。それが、「建学の精神」である「自由と融和」に示されています。「自立した個人となり、自立した個人同士が協働することで融和が生まれる」という意味です。

 二つ目は、「つらぬく」ということです。自分で考え、自立した生き方を貫く、ということが大切です。言い換えると、「考え続ける」ということです。本学の初代学長の黒正巌博士は「道理は天地を貫く」という言葉を遺されました。「私たちを自由にする心理・道理は、なににも冒されず天地を貫いてここに在る。真(まこと)の理(ことわり)、道(ひとのみち)の理(ことわり)を追求せよ」と述べられています。これは自立した人間となるために考え続けなさい、ということだと私は考えています。

 そして三つ目は、「つきぬける」ということです。今の不確実性の時代を卒業して、その後、どういう時代になるのかは全くわかりません。そういう時に、私たちは、新しいアイデア、新しい価値観が私たちに求められています。考え続けることによって、新しい何かを生み出す、ゼロから1を生み出すことが求められています。それこそが、先程のミッションで言った「創発」という一言で片付けられるのではないかと思います。

 最後に、お祝いのメッセージとしてまとめたいと思います。

 自由の(自らに由る)の精神を持って、道理を貫く。つながる力(融和)によって、社会のなかで共創する。そういうことを、この4年間、皆さんに覚えてほしいと思います。わかりやすく「つながる(自由と融和)」ということ、そして「つらぬく(道理貫天地)」、そして「つきぬける(創発)」、この3つを私たちとともに位置づけることで、一緒になって成長していきたいと思います。

 本日は、誠におめでとうございます。

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